番外編 第二話 ブラック労働記 番外編 「激震!派遣サバイバル」
原発労働編 第一話 原子力発電所で働いてエライ目にあった話
目次ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ
契約更新は絶望的…
震災から日を追うごとに仕事は減っていった
二週間が過ぎた頃には一日の生産は2~3時間ほどしかなく、残りの時間は掃除やメンテナンスが続く日々…
社員の人達も不安に感じる中、派遣社員には絶望しかなかった
この先どうすれば…と嘆く人
新しい仕事を探し出した人
クビになったら旅行でも行こうかなんて言ってる人
派遣社員でも人それぞれといった感じだが、みんな契約が更新されるなんて微塵も思っていなかった…
そして3月も終わりに差し掛かったころ、仕事をしていると他の派遣社員が一人づつ呼び出されていく
おそらく契約更新の話だろう
帰ってきた人達は苦笑いをしながら「ダメだったわ」と言って肩を落としていたのを覚えている
「ここまでか…」
呼び出され面談へ…
そうこうしているうちに私のところにもインスマス係長がやってきた
インスマス係長
覚悟はしていたはずなのに、いざ呼び出しを喰らうと絶望感でいっぱいになった
死刑台に送られるような感覚…とまではいかないが、全身の筋肉が強張るような緊張感
そんな状態で嫌々ながらも応接室の扉をノックした
部屋に入ると課長が一人だけ、一対一の面談となった
まぁ最近のウチの仕事量を見てるとだいたい想像できると思うけど、上から派遣の人は減らすようにお達しが出てるんだよ課長
ずいずい
やっぱ無理だよなぁ…来月からまた無職か…
課長
ずいずい
ウチの部署では長く働いている先輩君に残って貰うことになった、それ以上は枠が取れなくてね…課長
ずいずい
ウチの部署では枠が無いんだけど、別の部署で枠を開けてもらったからさ、急だけど来月からそっちで頑張ってほしいんだ課長
完全に諦めていた私にとって課長の言葉は衝撃的だった
係長も言ってたけど君なら大丈夫でしょ、あとで係長に一言お礼でもしとくんやで課長
契約更新は絶望的で、もう無理だと思っていた私は、インスマス係長のおかげでギリギリのところで生き延びることができたのだった
面談が終わった後、インスマス係長にお礼を言いに行ったが
別の部署になっちゃったけどまた頑張ってねインスマス係長
とあっさりしていたのを覚えている
原発の親方といい係長といい、良い上司の下で働けて本当に良かったとつくづく思ったのだ..
新たな仕事もなんのその
月も変わり4月、会社への受注も少しづつ戻ってきたようだった
新しいは今までと違って定時勤務(8時~17時)、生活リズムを整えずに済むのは助かった
仕事の内容は変わったものの、それまで直前の工程を担当していたこともあり馴染むまでに時間はかからなかった
ここでは社員の人が一ヵ月間ガッツリマンツーマンで指導してくれたのも大きかった
とても分かりやすく気さくな人で、優良企業にはいい人材が沢山いるんだなぁと痛感したものである
仕事にも慣れていった私は平穏な日々を送りつつ、急な残業や以前の現場への応援などをこなしていった
二つの部署を渡り歩くような日々に充実感と多少の優越感を覚えながら月日を重ねていった
次回