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原子力発電所で働いてエライ目にあった話「第三話 吹雪と爺と陰謀と…」

第二話

原子力発電所で働いてエライ目にあった話「第二話 虚偽と暗黒の健康診断」

第四話→

原子力発電所で働いてエライ目にあった話「第四話 因果応報 クズオ逝く」

ただただ辛い毎日…

健康診断の件があって以降、重い空気の中ひたすらグラインダーで壁を削る…

社長は相変わらず根に持っているようで、自分にできるのは今まで以上にキリキリ働く事だけだったズイ…

そんな私と対照的に社長に気に入られていたのがクズオだった

仕事のスキル自体は私と同じ素人で、むしろ覚えが悪く要領は悪かったズイ

しかし持ち前の調子のいい性格が気に入られたのか仕事中でも社長と談笑している姿をよく見かけたズイ(私は必死に壁を削っていたけど…)

働き始めた頃はクズオと話す事も多かったけどこの頃にはほとんど会話をする事は無くなっていたズイ

そしていよいよ壁を削る作業も終わり、この現場も終わりに差し掛かった頃

僅かに風向きが変わる

FA親父の助け船

穴蔵のような現場の仕事も終わりに近づき撤収作業に移ったある日資材の運搬のため私とFA親父は二人で車で移動する事になったズ

FA親父は社長と仲がいいのは知ってたので健康診断の件も聞いてるだろうと思い、その頃私自身距離を置いていたズイ

ただFA親父から直接何か言われた訳でもなく、実際どこまで把握しているのか全く読めなくて車内は気まずい空気だったズイ…

そんな中、FA親父が口を開いた

「アイツ(社長)と何かあったんか?」

果たしてこの質問の真意は何なのか?

私はてっきり把握しているものだと思っていたけど知らなかったのか?

それとも知ってる上で何か聞きたい意図があったのか?

全く読めない中、私はなるべく自分に落ち度があって社長に迷惑をかけてしまったという形で健康診断の件をFA親父に話したズイ

話を聞き終わったFA親父は

「そうか、確かにアイツが怒るんも仕方ないわ…

でもちょっとやり過ぎやと思うし、反省してるんやから一回ちゃんと謝ったらアイツも水に流すと思うぞ、俺からもフォローしとくから、今日は仕事終わったら話してみ」

FA親父が健康診断の件を本当に知らなかったのか分からないけど現状を少しでも改善するなら社長に一度謝るしかない

極限状態での謝罪…

そして仕事が終わり、FA親父から話を聞いたのかその日休みだった社長がバスの停留所に車で私を迎えに来ていたズイ

車内は私と社長の二人きり、今までの事もあり私の恐怖と緊張感は極限状態だったズイ

それでもなんとか勇気を振り絞り健康診断の件を切り出し謝罪したズイ

ぶちギレられるかヒヤヒヤしていたけど、FA親父のフォローがあったためか社長はそこまで怒った様子もなく落ち着いた口調で「今後は気を付けろ」と言ったズイ


それから社長はこの業界でいかに人付き合いと信用が大切かを話し出したズイ

自分の過去、16歳から働きFA親父と一緒に数々の現場をこなし、やっと自分の会社を持って仕事を貰えるようになったこと


だからこそ今回の件は本気で怒ってしまった、でも右も左も分からないお前に伝えてなかった俺も悪かったと…

人間の心とは弱いもので、緊張と恐怖の後にこうやって優しく扱われるとコロッと流されてしまうズイ…

もはやマインドコントロール…

ストックホルム症候群に似たような現象で、いままで社長殴られら詰められた事への怒りはこの時消えてしまっズイ

当時の私は貯金も仕事の当ても実家に出戻る覚悟も無く、言うなれば逃げ道がない状態


そんな状況だからこそアッサリ操られてしまったのかもしれないズイ…

その後は社長の家に迎えられ、夕食をご馳走になったズイ

家に送ってもらう帰りの車内で社長は私に

「仕事の覚えは早いのは見てて分かった、お前が本当にやる気があるなら俺が育ててやる

次の現場はまた足場作業になるけど雑用じゃなくて基礎からやらせたる」

「お前、ヤル気あるか?」

今となっては頭が狂っているとしか思えないこのやり取りだが、この時はいろんな感情で涙が出そうになったズイ…

そして私は社長のこの言葉に

「やります!やらせてください!!」

と答えた

弱っていた私の心は数時間で社長に靡いてしまったズイ…

溺れるものは藁にもすがる

この言葉の通り、私はブラック工業で働いていく決意をしたのだった…

翌日からは社長とマンツーマン

次の日からは今までとはうってかわって現場での扱いが変わったズ

まだ穴蔵現場の撤収作業ではあったけど、社長が付きっきりで工具の名前・使い方からメンテナンス等を教えてくれたズイ

私も決意を新たに、教わった事を覚えようと必死でメモを取ったり休憩時間に質問したりと必死だったズイ

ブラック企業でもイキイキと働いてる人って不思議に思えるけど、それって多分こういう状態なんだろうなと思うズイ(某ワタミ社員感)

そして長かった穴蔵での現場も無事に終了し、休み明けから新たな現場!

次の現場で本格的に仕事を覚えるぞ!

そんな決意を胸に心踊らせながら週末を迎えるのであった

突然の掌返し、新たな現場は吹雪の中の外仕事

そして休み明があけた月曜日、いよいよ新しい現場で足場工事を学べると思っていた私に社長が言った

「お前とマーク爺は二人で外仕事しとけ」

え?話が違う…

しかもそう言われたときの社長の雰囲気はまるで謝罪する前のような冷たさだったズイ…

「え?なにかやらかした!?なんで!?なんで!?」

せっかく持ち直したかに思えた社長との関係が急に…なんで…?

もはやメンヘラ化していた私は混乱したまま新しい現場にマーク爺と向かったズイ

訪れた新しい現場は建屋の外、仕事内容は2m×2mのコンクリートの地面を50cm程の深さまで掘るという単純なものだったズイ

しかし作業するのは私とマーク爺の二人だけ、建屋内の穴倉は作業灯の熱もあり気にならなかったけど

外は3月も中頃というのに寒く、豪雪地帯のせいか雪が降り積もる中での作業だったズイ…

どうしてこんな仕事に飛ばされたのか?一体何があったのか?

考えても何一つ分からない中、コンクリート掘削の経験があったマーク爺に教わりながら地面を掘る日々が始まったズイ…

地面を掘るのに使うのは「ハツリ」と呼ばれる道路工事などで見たことのある工具ズイ

振動が激しく、掘削したコンクリートの粉が雪解け水と混じった汚泥が飛び散り体にかかる…

雨合羽にゴーグルという装備で作業をしていたけどコンクリートの飛散やゴーグルの曇りなどで視界はすぐに遮られてしまうズイ…

さらに作業を開始して数時間後には吹雪が…

たかが50cm程度の深さと侮っていたが作業がなかなか進まないズイ…

おまけに経験があったマーク爺も外の寒さとハツリの振動によって腰をいわしてしまったズイ…

この仕事はマーク爺のような年寄りにさせるような仕事ではないだろうに…

おそらく社長に嫌われていたことでこの仕事をさせられたのだろうか?

もしそうだとしたら私は…

疑念と不安の中、考えても答えは出ない

今はただマーク爺に負担を掛けないように必死に地面を掘るしかなかったズイ…

数日後に謎が解けた…ヤツの陰謀だった

それから数日、無情なことに雪の降らない日は無かった それでも地面を掘る作業を続ける日々

そんななか昼休憩の時にトイレで出くわしたFA親父から衝撃の事実を聞くことになったズイ  

それはクズオが私の悪評を散々社長に言いふらしているというものだったズイ…

確かにクズオとは働き始めた頃によく喋っていたズイ 思い返せば健康診断でやらかした次の日に

「いきなり社長に殴られて訳が分からなかった…」

という話をクズオにした覚えがあったズイ

しかし社長に聞かれて困るような話はしていなかったはず…

FA親父にどんな事を話していたか聞いたところ…

・殴られた事への恨み(〇してやると言っていた)  

・ブラック工業への愚痴  

・私とは中学の同級生で当時はパシリだった  

・昔から嘘ばかりつく奴だった

などなど… 1番目と2番目に関しては話を盛られているとはいえ、心の中で思ったことがある以上完全に否定できないズイ

しかし残りに関しては全くのデマ そもそも私とクズオは初対面だし、中学なんて実家から飛び出してきてる私とは県すら違うズイ 

FA親父から聞いたこの話に絶句した私…

その場で「それは違います!」と言ったものの、FA親父は信じてくれなかったズイ…

社長に謝るときに段取りやフォローまでしてくれたFA親父はクズオの話を聞いて心底私の事を軽蔑していたんだと思うズイ…  

数日前はヤル気に満ち溢れ、心機一転!頑張ろう!と思っていた矢先…

私の希望はクズオのデマによって砕け散り、吹雪の中でコンクリートの汚泥にまみれるという酷い現場に飛ばされてしまったのだった…

島流しのように飛ばされたマーク爺と私、クズオへの怒りは抑えられるはずもかった  

しかしそれでも汚泥にまみれ地面を掘る日々は続く…

 

ブラック労働記 原発編 Season1

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